25 Heartfire (Day 1377)  

 




哀愁を漂わせて広場を後にしたのはよかったが、あっというまに顔面真っ青になってしまった俺様である。 そう、このClockwork Cityには扉とか、そういうフツーの出入り口が無いのだ。 そして、Recallとかの移動魔法も使えないのだ。 ちょっと前まではSotha Silが住んでたんだから、出入り口だってどこかにあるはずだ。 そう思って探しても通風口一つ見つからない。 魔法も使えない。

こことMournholdを行き来できる能力を持ったAlmalexiaが死んだ以上、もしかしてここから出る手段は無いのだろうか。


そんなのヤダー!!!(半泣)



しかし、元々Almalexiaは俺様をここから生きて出すつもりはなかったのだから、帰りの移動手段がなくったってちっとも不思議ではない。

いや、Almalexia・・・・Almalexiaと言えば・・・・・。 俺様を帰すつもりは無かったとして、彼女自身はどうやって帰るつもりだったのだろう? そういえばMazed Bandがどうこう言ってなかったか・・・?

あわてて広場にとってかえし、Almalexiaの指からMazed Bandを抜き取る。  これはずっと前に俺様が下水の王様(名前忘却)からパチってきて女神様にあげたものだ。 それさえなければSotha Silも死ぬことは無かったのかと思うと悪いことしちゃったなぁ、と思うが、今はそれどころでなない。

どうみても安物なその指輪を指にはめると、ヤッタ! 転送空間が開き、移動が始まったのだ。 途中で何か強い力が働いたようで一瞬ビビったが、実体化してみるとそこはHigh Chapelの中だった。 ヨカッター! とにかく地上に帰還だ。 ここからなら何とでもなる。











女神様の留守を預かっているAlmalexia's Handsの視線を感じながら、Templeの外に出る。 ちょうど夜が明けたばっかりの薄暗がりの中に誰かが実体化してきた。

また?と一瞬身構えたが、辺りに溢れた暖かく優しい気につつまれて出現したのは女神Azura様だった。








You have done well, mortal. The death of Almalexia is a boon for all of Morrowind, though it may take tme for this to be understood. She would have betrayed the Dunmer as surely as she betrayed all those she loved. This was her curse, and this was her undoing.

よくやってくれました。 限りある命の者よ。 Almalexiaの死はMorrowind全土にとって幸いとなるでしょう。 たとえ人々がそれを受け入れるには少し時間がかかってもです。 彼女はDunmerも、彼女を敬愛した民も、どちらも裏切っていたのです。 それが彼女の罪であり、破滅への扉だったのです。

Weep not for Sotha Sil. He shed his mortality long ago, and I am certain his death was no small relief to him. These gods lived with the burden of a power to mortal was meant to posses.

Sotha Silのために哀しむことはありません。 彼が不死の体を手に入れたのはずっと昔のことですが、今やっと訪れた死によって救われたと言えるでしょう。 彼らが神となり手に入れた力の重さは、人の子として生まれた彼らにとっては呪いに他ならなかったのです。

Your work in Morrowind is not finished, Nerevarine. Vivec still lives, but I believe his time grows short. Protect my people. Defend these lands. The skies of Mournhold are clear once again. Let these people suffer no longer. Now go, mortal. Embrace your destiny and go with my blessing.

Nerevarine、あなたがMorrowindで成すべき事はまだあります。 Vivecは生き残りましたが、彼に残された時間もそう多くはないでしょう。 どうか民を守ってください。 そしてこの大地も。 Mournholdは青空を取り戻しました。 人々が嵐に苦しむことも、もうないでしょう。 さぁ、行きなさい、限りある生命の子よ。 私の祝福と共に、たどるべき道を歩むのです。



Azura神が去った後、Mournholdの街には朝の陽射しが差してきた。 灰の嵐は止み、青い空が戻ってきたのだ。 





ひさしぶりの穏やかな朝を迎えたTempleの小道を歩いて、Bazaarへ向かう。 まだ朝露の残る木々をかき分けて、目当ての物を集める。 腕一杯に集まったところで、それを持ってもう一度Mazed Bandを使ってClockwork Cityに戻った。











腕一杯に摘んで来たMournholdの花で、Almalexiaの亡骸を包む。 俺様は祈る神を持たないから、天国とか地獄とかあんまりわからないし、神様が死んじゃった時に魂がどこに行くかなんてさらにわからない。 それでもどこかに旅立つのなら、彼女の愛した街にしか咲かない花につつまれて、行って欲しいと思ったのだ。 やり方はメチャクチャだったかもしんないけど、彼女なりにMournholdを愛していたのだと信じているから。













Sotha Silにも花をお裾分けし、しばし頭を垂れた後に、炎の魔法を放って二人の体を灰へ還した。




さようなら女神様。 もしも天国ってのがあるならば、そこで旦那とお幸せに。










再びMournholdに戻ると、主を失ったHigh Chapelの中は暗くガランとしていた。  相変わらずOrdinatorの精鋭達が、身動きもせずに守護の任に就いている。Azura神の言ったとおり、Almalexiaの死はいずれ知られてしまうだろう。 でも、それまでは彼らはここを守り続けるんだろう。

女神様がいつも立っていた場所に、残りの花を捧げた。

 












何喰わぬ顔でTempleで働く人たちとにこやかに挨拶を交わす。 女神様のご加護があるようにと祝福してもらったので、そうですね、とありがたくうける。

Palaceの王様にだけは、事の次第を偽り無く報告した。 結局はAlmalexiaの仕業だった噴水広場の襲撃を調査依頼されていたのが、そもそもの始まりだったんだしな。





The attacks were Almalexia's doing? And now you say that both she and Sotha Sil lie dead in the Clockwork City? She murders Sotha Sil, and then tries to kill you as well. Astounding! I believe your tale, Lenne, but do not expect my people to be so accepting of it. You will find it is not so easy to kill these gods in the hearts and minds of their followers. It will take time, but this will be a new era for Morrowind, and I will lead them into it. You have done well, my friend. You have my gratitude.

襲撃はAlmalexia自身の仕業だったと? そのAlmalexiaもSotha Silも、Clockwork Cityで死んだと? Sotha SilはAlmalexiaに殺され、彼女は君をも手に掛けようとしたと・・・。 何と言うことだろう! あぁ、もちろん私は君の話を信じる。 しかし民にはなかなか受け入れがたい話だろう。 敬愛し、信じてきた神を心から追い出すには時間がかかるだろうよ。 しかしこれはMorrowindにとって新しい時代の幕開けでもある。 そして、新しき時の訪れの中で、私が民を正しく率いてみせるよ。 友よ、君はよくやってくれた。 心から感謝するよ。



女神様が民を裏切っていた。 そしてその報いを受けて死んだ、という事実は伏せておいた方が良いだろう、というそこのところは、王様も俺様と同じ意見だった。 異存は全くない。  Almalexiaの姿が見えないまま年月が経てば、人々は少しずつ、神様に頼らずに歩く術を学ぶだろう。 きっとHelseth王や、その後継者が正しく国を率いて行ってくれるだろう。 神様なんかいなくったって大丈夫なように。











王様にいとまごいをし、次にMazed Bandの力を使って都市Vivecへ飛び、Vivec神の元を訪れる。


権勢を極めたTribunal神、最後の1人となっちゃったVivecに、その旧友達が互いに殺し合ったと告げるのは酷かもしれないが、どうせ神様だ。 俺様が言わなくても事実関係だけはいずれ知るだろうから、せめてものなぐさめにと、あまり苦しまずに逝ったと報告する。






That is very sad. I presume she killed Sotha Sil. I thought she might harm me. And I presume she tried to kill you, Nerevarine. It is all very sad. But death comes to all mortals -- and we are all mortal now. In time, death will come to me, Nerevarine -- perhaps even at your hands. It is futile to deny one's fate. But, nonetheless, I'm afraid I find it all very, very sad that it should end this way, something that began in such glory and noble promise.

心の痛む話だ。 Almalexiaは望んでSotha Silを手に掛けたのだろうし、いずれ私の命も狙ってきただろうね。 そしてNerevarine、君の存在も許しはしなかったろうよ。 なんと哀しいことだろう。 しかし死は誰にでも訪れる。 そして我らTribunal神もいまや死すべき存在となった。 私にもいずれ命の尽きるときがやってくるだろう。 もちろん君にもね、Nerevarine。 その運命から逃れようなどとは愚かなことなのだよ。 しかしそれでも、私たちがみな終わりを迎えなくてはならなかったとしても、それはこのような哀しいものでなくてはならなかったのだろうか? 栄光と気高き誓いに包まれて始まった我らの道だというのに。









Tribunal神の始まりは、あの山の麓から見つけだされた「Heart」の力を受けたことだった。 それがDagoth Urを狂わせ、Nerevarの死を招き、そしてTribunal神を創り出した。 そのHeartを俺様がカチ割ってしまった時、Tribunal神の不死も終わったのだと言う。

あんな「Heart」なんか最初から無ければよかったのにな。 






色々な出来事の始まりとなったMournholdの噴水広場を見渡すと、街の人々が忙しく行き交うのが目に入る。 盛大にブッ壊れちゃってる噴水の石像は、そのうちキチンと作り直されるのだろうが、その時は神様の像じゃなくて何か他の物になるような気がする。 
 

陽射しを浴びて咲き誇る花を見ていたら、急にBalmoraに帰りたくなった。 せっかく摘んだ花はAlmalexiaとSotha Silにあげちゃったけど、Ajiraちゃんはそんなことで怒ったりなんかしないだろう。 他のめずらしい薬草もたくさんおみやげ用にためてあるしな。そうだ、もうMournholdに用は無い。 Balmoraに帰ろう。 AjiraちゃんのいるBalmoraに。 



俺様はMazed Bandを指から外し、BalmoraへのRecallを詠唱した。











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