11 Heartfire (Day 1363) 

 




次にお邪魔したSadri家では、これまた緊迫した空気にお出迎えされてしまった。 平和で美しい街に見えるMournholdの住宅街も、中に入ればそれぞれの事情があるもんだなぁ。

いや、そんなレベルでは無いぞ。 この物々しさは何としたこと?

ちょっくらごめんなさいよ、と奥にはいると、耳に刺さるような金切り声で怒鳴られてしまった。



I know you.... you're one of THEM! You can't fool me! Well, you'll never get your hands on it! It's safe from the likes of you! From all you thieves! There's nothing for you here; just get out. GET OUT!

あんたも奴らの仲間でしょう! わかってるんだからね! 騙されやしないわよ! あんたたちなんかにアレを渡すもんですか! 触らせもしないわよ! あんたらみたいな盗人連中にはね! 盗れるものなんか何にもないんだからさっさと出て行きなさいよ!










その俺様を怒鳴った女主人らしき人物を、他の女性があわてて奥へ引っ張っていく。 もう1人いた男Alvan Llarysが、俺様に目配せして彼女から離れるようにサインを送ってきた。 んん? 何だ何だ??



I'm sorry you had to see that. She's been like this for months now, and no one can seem to get through to her. We have no idea what "it" is, or why she's become so paranoid about it. Any attempts to discuss the matter with her have ended badly. Some even violently. That's why we bring a guard with us when we visit. As a friend of the family, I can't just leave her to her own devices. I've heard, however, that she was seen talking to Elbert Nermarc recently. Perhaps he might know more.

いや、申し訳ない。 彼女は何ヶ月も前からあんな感じなのだよ。 我々にも何を言っているのかさっぱりなのだがね。 彼女が言っている「あれ」が何の事だかもまったく分からない。 聞こうとしただけで喚き散らし始めるくらいなのだ。 暴力沙汰に発展することもあったくらいで、それで彼女を見舞うときには衛兵をたてているのだよ。 彼女とは元々家族ぐるみのつきあいでね、こんな状態でここにほったらかしにしておくわけにもいかん。 彼女とElbert Nermacが最近話をしたとも聞いているのだが、彼なら何か知っているのだろうか?

He's the enchanter working over at the Craftsmen's Hall. I have no idea what business she would have with him, but if she's been making the effort to visit him, then perhaps he may have some insight as to her condition. Could you go talk to him, Lenne, and ask him about Golena Sadri? I'd go myself, but I feel that I really should remain here to comfort her.

NermarcはCraftmen's Hallに店を構えているエンチャンターだよ。 彼女がエンチャンターに何の用があったのかは知らないが。 しかし、もし2人を合わせることができれば何かわかるかもしれない。 Lenneくん、Craftsmen's Hallに行ってNermarcに彼女を訪ねるように頼んでくれないだろうか? 私自身で行ければいいのだが、彼女を一人にするわけにもいかないのだよ。



確かに、奥から未だ聞こえてくる彼女の金切り声は、一人にしておくと何をおっぱじめるか分からない鬼気に満ちていた。 ホントにただごとでは無い様子なのが見て取れたので、Craftsmen's Hallまでお使いを快く引き受けることにした。









しかし、Nermarcは彼女、Golena Sadriの名前を出しただけで、俺様がむしろビビるくらいの勢いで拒絶してきたのだ。 おいおい、いったい何があったってんだ?






NO! I want nothing to do with her... wait, what? Oh, I'm sorry. I thought you wanted me to go see her. I'm not going anywhere near her again, after what happened. It was fine when she first showed up, asking about enchantments and such. But when she had me look at those strange devices, it was clear I'd gotten in over my head.

冗談じゃありません! 二度と関わり合いたくないですよ!え? あ、いや、失礼しました。 彼女の所へ行けと言われたのかと思って・・・。 いやぁ、絶対会いたくないですよ。 近寄りたくもないですね。 あんな事があった後では。 最初はよかったんですよ。 彼女がここに来て、エンチャントについてのことを色々聞いてきたりしていて。 それが、変な装置を見るように頼まれるようになったあたりから、どうもわけのわからないことになってきたのです。



変な装置って? 家の中にはそんなもん無かったような気がするんだけど・・・。



Yes, as I said, it started out with simple questions. She'd show up every now and then, acting a little odd, asking about what would be involved in enchanting various sorts of objects. I assumed she had a passing interest in the subject, until she begged me to visit her manor to help her with something she was working on. There were more than a dozen of them strewn about the place. I'd never seen anything like them before; maybe they were Dwemer in origin.

ええ、奇妙な装置です。 最初は簡単なことを聞かれるだけだったのですが、ここに彼女が来るのがどんどん頻繁になり、言動もおかしくなっていきました。 エンチャントについての質問も、それは色々な物に対することになって。 私は、彼女が単に勉強熱心なだけだと思ってましたよ。 彼女の家を訪問するように頼まれるまではね。 なんでも、そこでやってることで、私に力を貸して欲しい事があるとかなんとか。 あそこには色んな物が山ほどありましたよ。 見たこともないような物ばかりですがね。 多分Dwemerの何かのようでしたが・・・。

I stepped closer to one to get a better look, and it shocked me. Badly, at that. Took several hours to regain the feeling in my left arm. At the time, I stumbled and fell, only to hear her laughing maniacally. She was upset that they weren't strong enough! When I'd recovered a bit, I tried asking what she was up to, and she exploded at me. Accused me of being a spy, of trying to steal from her. She ran me out of the manor, and I haven't spoken to her since, which suits me just fine.

その中の1つに近づいてよく見ようとしてみたのですが、いきなり衝撃波を受けたのです。 それもとても威力のある一発をね。 左腕に当たったのですが、感覚が戻るまでに何時間もかかるほどでしたよ。 当たった瞬間はよろめいて倒れてしまったのですが、その時に彼女は何かに取り憑かれたように笑っていました。 その装置が思ったとおりの威力を示したと大喜びだったのです。 衝撃から少し立ち直ってから、何のつもりだと問いただしました。 その答えは、いきなりの攻撃でしたよ。 私が彼女からそれを盗もうとしていると言ってね。 私は家の外に逃げ出し、それっきり彼女と話したことはありません。 もちろん話したくもありませんけどね。



そんなおっかない装置、あったかなぁ、あの家に。 ま、とにかく「変な装置っぽいものwith爆発危険」なのがあの家のどっかにあって、それが彼女が守っている「あれ」なんだろうな。

帰ってあのAlvan Llarysに分かったことだけでも報告しよう。









Sadri家の前まで来ると、Llarysさんは俺様の帰りが待ちきれずに外で待っていた・・・ってワケではなさそうだ。 こんな灰嵐の中でどうしちゃったんですかいったい。






Lenne! You've got to do something! I stepped out for a bit of fresh air, only to hear the door lock behind me! There was some horrible screaming a few minutes ago, but it's gone all quiet now, and no one has answered when I've pounded on the door. We've got to get in there!

Lenneさん! 何とかしてください! ちょっと気分を変えに外に出た隙に閉め出されてしまったのです! それで、ほんの少し前のことなのですが恐ろしい悲鳴が聞こえてきて、その後はまったく静かになってしまったのです。 外から扉を叩いて呼びかけても何の返事もありません。 何とかして中に入らなくては!



なんてこったい、と階段を駆け上がって扉を調べてみると、幸いなことにカンヌキとかバリケードではなく、中から鍵がかかっているだけだった。 即効魔法で開けてしまう。


中に突入してSadriさんがいたはずの地下に降りると、恐れていた事態が起こってしまっていた。 Llarysが連れてきていた警備のOrdinatorが死体となって倒れていたのだ。



誰がOrdinatorを? 他にここにいたのは年輩の女性2人。 不意打ちだろうがなんだろうが、High Ordinatorが後れをとるなんてことあるだろうか?

その奥を除いても女性2人の姿はなく、代わりに乱暴にどけられた敷物の下から、床下へ続く落とし扉が顔を出していた。  他に出入り口は俺様の入ってきた玄関だけだ。 一も二もなく扉を開けて、続いている地下へと降りていった。




梯子は街の下に広がる下水の一部らしき場所に繋がっていた。 下水マスターの俺様が初めて見る場所だから、他の下水とは繋がっていないのだろう。 岩が崩れた様子がそこかしこに見られるので、分断された箇所というワケか・・・。 すぐそばの扉に走り寄ると、岩陰からもっと恐れていた光景が顔をのぞかせた。



Sadriさんの面倒を見ていたもう1人の女性だ。 喉をスッパリ切られて完全に息絶えている。 なんてことだ・・・。 

水に浸かっていた彼女の体はすっかり冷え切っていて、いつ襲われたのかはわからない。 もしも俺様がもうちょっと早く戻ってくれば、彼女は死なずにすんだのだろうか? 申し訳ない気持ちで物言わぬ姿に手を合わせると扉をくぐり、先を急ぐ。 もう1人、Sadriさんだけでも助けなくては。




扉の先の下水は一見行き止まりだったが、天井を走るパイプについたクランクを回すと部屋全体に水が満ち、低いところに集まっていた木箱が浮いた後の床からさらに奥へ続くらしい扉が見えた。



水中呼吸の魔法をかけ、次の空間でもクランクを操り梯子を登って、行き着いた先は下水道から続く洞窟だった。  なんだか「いかにも」な装置が床にとりつけてある。
 


何これアラーム?(一歩前進)


バフーーーン!バリバリバリ


えー、報告いたします。 トラップでした(煙)。 しかも大変強力な。

背伸びして先を見ると、何個も何個もおいてあるのが見える。 ご丁寧に2個付けとかしてあるとこまである始末だ。

さて、どうすっかな。 Invisi? Chameleon? Sneak? Lavitate?




RUN! RUN! 
それそれ突っ切れ〜ぃ!!


足下やら壁やらでトラップがズゴンバゴンと反応し、目の前が色んな色の閃光でいっぱいになるがかまわず奥を目指して走り抜ける。 Khajiitの脚力なめんなよーーーー!! 




っていうか無理です。 と思うくらいダメージを受けたころ、トラップの群は抜けることができた。 その奥にはさらに下水区域に戻った通路が広がっていて、その向こうに怪しげな人影が立っていた。


ものごっつい鎧を装備してはいるが、その人影はよくよく見るとSadriさんだった。 ヨカッタ無事でしたか、と近づくとイキナリ麻痺魔法やらなんやら撃たれまくった。 キャー! 俺様今日の運勢最悪?? あああ!コラ!! 麻痺ってる俺様のシリに何をしやがりますか!!!



身動きとれない間に強力なMaceで布団叩きのようにバコバコ叩かれて俺様もさすがに頭に来た。 動けるようになるなり剣を抜いてSadriさんの頭上に振り下ろす。

もともとは只のオバチャンなSadriさんはあっというまに倒れ、辺りは再度静寂につつまれた。 ・・・・・何だったんだ?一体??

Sadriさんの持ち物やこの空間を探ってみたが、彼女の狂気の原因となったような物は何も見つからなかった。

帰りがけに横道の奥をふと見ると、さらに警報装置特盛りの一画に宝箱が2つおいてあった。 これなのかなぁ? 彼女が欲ボケになってまで守りたかったものって。 さすがにこの数の警報装置にドカスカやられたら俺様も危ないかも、ってことで、Lavitateで上空から接近し、Telekinesisで箱を開けて中身を取り出す。

うーん。 そんなにイイ物ってわけでもないし・・・。 いや、自分の身を心配してくれる友達の命と引き替えにできる宝なんかありっこない。 やっぱり何かのハズミに気が狂ってしまっていたのだろう。 実験に失敗して変な混乱魔法を自分にかけちゃったとかさ。

他には「近づくと爆発する何か」があるらしい崩落現場とかはあったが、その奥への行き方がわからなかった。 やっぱり謎は謎のまま終わりそうだ。




外に戻り、心配して待っていたLlarysさんに一部始終を報告する。 大変なショックを受けたようだが、Sadriさんの最近の様子からして、避けられない事態だったのだろうと納得してくれたようだ。

後の始末は彼に任せてもよさそうだ。 色んなわからないことが残ったままだがSadri家を後にすることにした。




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