16 Last Seed (Day 1)

 
 

日も暮れて海風が冷たくなってきたので、海岸線をたどってSeyda Neen村へ戻ることにする。

ロットワームシチューの材料みたいな芋虫や巨大化したフジツボみたいなのが襲ってくるが、さっき錬金術師からもらった剣がなかなかの性能を発揮してくれるのでサクサクとやっつけて蟹肉まで手に入れてしまった。 俺様は蟹やエビを食うと腰が抜けるので、この肉は後にどこかで売り飛ばすことにしよう。





Seyda Neenの夕餉支度の煙が見えるくらい近くにもどったとき、岩の間にイヤなものを見つけてしまった。 村で失踪が話題になっていた徴税人はこんな近くで物言わぬ姿になっていたのだ。

誰かが少し探せば見つかった場所で、誰にも探されないまま土に還ろうとしている徴税人は、濁った目で空を見上げる。

その孤独はヨソ者の俺様には決して他人事ではない。




Found his body, huh? Well, it's up to you what to do with that information. I suppose that Socucius Ergalla in the Census and Excise Office would be the one to tell, if that's your inclination.

徴税人の死体を見つけた? ふーむ。 とりあえず管理事務所のSocucius Ergallaへ報告してみたらどうかね? ま、別に強制はしないがね。



村へ戻った俺様は、最初に徴税人が失踪しているという情報をくれたガードに報告してみたが、あまり快い応答はしてもらえなかった。 自分たちの地域の公務員が殺されたって言うのに冷たいヤツらだ。 それとも殺されてもしょうがないほど嫌われていたのだろうか。 何か悪いことでもしていたのだろうか。

ヨソ者の俺様がどこまで立ち入っていい問題かわからなくなってきたが、とりあえずSocucius Ergallaへ報告に行くことにする。




Murdered? What a waste. Processus was a good man. I had been wondering why we hadn't heard from him in a few days. Still, these are dangerous times we live in, and these sorts of things will happen. Did you happen to find the tax money he'd collected? I hate to be so callous, but I do have a job to do.

殺されていたって? それは残念なことだ。 決して悪い男ではなかったが。  最近姿を見ないからおかしいと思っていたところだ。
しかしここは危険な辺境の地だ。 何があってもおかしくはなかろう。

ところで、Vitelliousは集めた税金を持っていなかったかね? すぐに金の事を気にするのは冷たいと思うだろうが、私も任務は遂行しなくてはならないのだよ。



Socucius Ergallaというのは、俺様の釈放証明書に印を押してくれた爺さんのことだった。

徴税人が死体で発見されたと聞いた爺さんは、それでもあまり動揺を見せず、すぐに徴収済みの税金の話へ切り替えてきた。 俺様も素直にVitelliousの懐から抜き取った金を差し出す。 こんな金はいらない。


金を渡してさっさと事務所を後にしようとした俺様を爺さんが呼び止める。



Good to see you were able to recover the Emperor's coin. I appreciate that kind of honesty. Since you've proven trustworthy, here's something you might be interested in. I'd like to see the murderer of Processus punished. Killing an Emperor's tax collector is punishable by death. Find his murderer, bring him to justice, and the Census and Excise office will pay you 500 septims.

皇帝陛下への税が正しき手に戻って良かった。
お前さんの正直さもよくわかった。 お前さんを信頼するに足ると見て頼むのだが、徴税人を殺した者を皇帝陛下の名の下に裁いてくれぬか。
見事成し遂げた暁には500 Septimの報償を約束するぞ。


金の話の次は、朝まで囚人だったやつを報奨金で釣ろうってのか。 ちょっとうんざりしたが、実際俺様の懐にはブリザガが吹いている。 それに、どうせ犯人は探してやろうと思っていたところだ。 快くとはいかないが、それでも爺さんの依頼を受けて事務所を出ることにした。

腹いせに、事務所の中のめぼしいアイテムを懐にさらいこむ。 ちょっとくらいの金にはなるだろうさ。

かすめっとた秘薬や食器を、話に聞いていたArrilleの店に売りさばきに行く。
Fargothはちゃんと話を通してくれていて、店員や客までもが冷たい目を向ける俺様を笑顔で迎えてくれた。
おそるおそる差し出したガラクタも結構な値で買い取ってくれた。 少しだけ懐が暖かくなったので、適当な呪文を買ってまた店の外に出る。


冷たい視線にもメゲずに聞き込み開始だ。





実は、徴税名簿も一緒に持ってきたのだ。 これを見ればVitelliousの行動がわかるだろう。



とりあえず、一番怪しいのはNucciusというヤツか?。 
この名簿順に回っていたのなら、Vedranoとは会っているが、話は終わっている。
次に訪れたNucciusと何かあったのかも知れない。

しかし、この狭い村だ。 偶然道ばたで会って支払いの件でもめたとすれば、未払い、つまりPAIDのマークが付いていないやつは全員怪しい。 さらに、支払った後で怒りがこみ上げて凶行に及んだ、というケースを考えれば、逆に支払い済み、つまりPAIDになっているヤツの方が怪しいとも言える。  懐に金が残っていたのだから、単に税金の話だけで殺されたとも考えにくい。 何かもっと深い根があるような気がする。

もう少し手がかりが必要だ。 もう世も更けてきていたが、村人に話を聞いて回ることにしよう。


このまま眠っても、あの徴税人の目が夢に出てきそうな気がしたからだ。



Someone finally got him, huh? Well, it's no surprise, I suppose. No one likes a tax collector, especially one who flaunts his wealth while taking our hard-earned cash. Only one who could stomach him at all was Thavere over in the lighthouse. The two of them spent some time together. Shame, really. She seemed like a nice woman.

やっとあいつを黙らせてくれたヤツがいるのかい? まぁあいつを好きだったヤツなんかいないさ。
俺たちからしぼりとった税金で金持ちになりやがったんだからな。しかもそれをひけらかしていたときたもんだよ。

あぁ、それでも灯台守のThavereだけはあいつを嫌っていなかったはずだよ。
一緒にいるのを何回も見かけたしな。 Thavereは悪い女じゃないのにあんなヤツとつきあってたなんて、残念なことだよ。


・・・・・・・率直なご意見ありがとうございます(げんなり)。


村の誰に聞いてもだいたいこんな意見ばっかりだ。 ホントに嫌われてたんだなぁ。 かなり身も蓋もない言われようだが、ここでどちらの意見に迎合するのも俺様の役目では無い。 黙って灯台守の女に会いに行くことにした。





Processus, murdered! No! Tell me it's not so. He was the gentlest man I've ever met. He and I had become so close in the past few months...I don't know what I will do without him. I've only seen him get angry once or twice; and never raised a hand to anyone. This is so sad.

あの人が死んだですって?
確かにここ数ヶ月のおつきあいだったけど、あんな優しい人はいないくらいよ。 怒ったのは数回しか見たことが無いくらいだし、誰かと揉めているなんか見たことないわ。 それが どうしてこんなことに・・・。

Thavereの灯台についた俺様は、手短に事件を説明したが、彼女にとっては初耳だったようだ。
悪い知らせを持ってきてしまったようである。 頼むから泣かないでくれ〜と念じていると、気丈にも持ち直した彼女は、俺様から見るとちょっと怖い顔を上げて話し始めた。

普段から温厚な人柄(ホントか!?)であったこと。 彼女がプレゼントした指輪を持ち歩いていたはずたということ。 それと、数回しか無いという彼の腹立ちは、海岸の小屋に住むForyn Gilnighとの間であったトラブルに対してのものだということ。

Foryin Gilnithに会いに行く価値はありそうだ。 さらに夜が更けてきたが、海岸に住む漁師なら、夜には在宅しているだろう。

別れを告げる俺様に、彼女が言う。

「指輪が見つかったら、返してほしいの。 他には何も、あの人を思い出すものがないから」


いいとも。 約束するさ。 







探す家はすぐにみつかった。

村の中央からもはずれた、沼のそばに並ぶ粗末な掘っ建て小屋の1つだ。 中に入ると、Foryin Gilnithはそこにいた。魚を捕るための粗末な道具と数えるほどの家財道具。こんなヤツに225drakesもの税金がかかっているとはちょっと信じられない。

ちょっと聞きたいんだけど、徴税人が殺された件で・・・



That fetcher? You're damn right I did him in, and a good thing, too. He was skimming a load of money from all of us honest people; overcharging us on our taxes and keeping the difference for himself. He was always flaunting his money around, showing off his new clothes and jewels. So, I killed the bastard, and left his body out there to rot, with all his ill-begotten gold still on him.

あの野郎のことか? ああ、確かに俺が殺したさ。 けど悪いことをしたとは思ってないね。あいつは税金を割り増ししてかけていたんだぜ?
もちろん差額を自分の懐に放り込んでいたのさ。 しかもその金で高級品だのなんだのを身につけて村中を練り歩く始末さ。 だから殺して汚い金と一緒に腐っていけるよう打ち捨ててやったのさ



ぐは〜。 もうちょっとこう言葉はオブラートにつつんでくれよ。オッサン。

事情はだいたいわかった。 あんまり良い徴税人じゃなかったようだ。村人の評判もそっち方面に傾いていたしなぁ。 でもさぁ、こんなに堂々と白状されたら俺様も「何も聞きませんでした」じゃすまないんだよ。


おとなしく事務所へ出頭するってのはダメかい?


ガゴ

いきなりかいこの野郎!



人情にとらわれた俺様がブチブチと逡巡している間にコイツの心の中では試合開始のゴングが鳴っていたようである。


素手の漁師に一撃くらって思わずダウンしてしまう俺様。

手に持った魔法剣がむなしく宙を掻く。





不意打ちでイッパツもらってしまった俺様だが、相手はたかが漁師である。

皇帝直属の海軍にとっつかまるほどのお尋ね者になる実力を持った俺様との力の差は大きい。

魔法剣が調子よく発動したこともあって、超余裕の勝利を決めることができた(冷汗)。




Foryin Gilnithの隠しを探ると、指輪は難なく見つかった。 そのまま灯台のThavereに返しに行く。

犯人が誰だったか、そいつの身に何が起きたかは伏せておいた。 狭い村の中で、これ以上つらい話を耳にする必要も無いだろう。 Gilnithの死体は俺様が始末したから、漁から帰らなかったとでも思われるはずだ。

しきり礼を言い、回復のポーションを押しつけて来たThavereの灯台を後にし、管理事務所に行って一部始終を報告する。 約束の報酬金は500Gold。 正義感の強い漁師の命の代金だと思うと、これを使ってしまう気には今はなれない。



管理事務所の地下室に泊まらせてもらうことにした俺様は、並ぶワイン樽を見上げながら薄い毛布にくるまった。



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