16 Last Seed (Day 1)

 
 

波の音が耳につく・・・・・・・。

ここは囚人船。 普段はたくさんの囚人を押し込めているんだろう。
窓もない船倉には独特の臭気がこもっている。

何処に向かうとも知れない船の底で、空も見えない日々が過ぎる。

眠ろうにも波の音が耳について・・・・・・・



Stand up, there you go. You were dreaming.

兄ちゃん、起きな、よく寝てたなぁ。

えっ!?

いつの間にか寝てましたか俺様。



What's your name?

兄ちゃん、自分の名前言えるかい?

えっ!?

俺様Lenneってんだけど・・・・・・・




っていうかアンタ誰(顔怖っ)!?



そうでした。 俺様、このオッサンと一緒にこの船に乗っていました。

目がちゃんと覚めたらだんだん思い出してきたのだが、それにしてもJiubは顔が怖すぎだよなぁ。 世話好きでイイヤツなんだけど。

 
Well, not even last night's storm could wake you. I heard them say we've reached Morrowind. I'm sure they'll let us go.

昨日嵐ひどかったけど起きなかったなぁ。 それはそうと、Morrowindに付いたらしいぞ。 ここで釈放されると見たね。俺は。

Morrowind・・・って聞いたことあるけどメチャ辺境の島だったような違ったような・・・。

そんなところで釈放されるってアリなのかね。




しばらくMorrowindについて知っていることをお互いに話していたが、Jiubがいきなり声を潜めた。
見るとガードがこちらに向かっている。

俺様だけを連れ出そうってことらしい。 Jiubも言うとおりにした方がいいと目で合図している。
ここは従うことにしてガードの後をおとなしく追う。 船旅が長かったので足下がふらつくが、まぁ元から身軽な俺様だ。 すぐにデッキへのハッチを開けて外に出た。





久しぶりの青空が目にまぶしい。 見たこともない形式の建物がちらほらと見える。
ここがMorrowind地方だというのはどうやらアタリらしい。



This is where they want you. Head down to the dock and he'll show you to the Census Office.

ここが君の降りる場所だ。 
ドックのところにいるガードが入島管理事務所へ案内するから付いていきなさい。


ふーん。 ここで降ろされるって話はどうやら本当らしい。
囚人の俺様を管理事務所へってのは合点がいかないが、どういうことだろう。





村の方に視線をやると、見たことのない巨大な生き物が目に付いた。 
しかも俺様の大嫌いなアレに似ている。 そう、ネコノミだ。 
見たとたんになんだかカユクなった俺様は耳の後ろをパリパリと掻いた。



Let's go. Move it along.

さぁ、早く行きたまえ。


ガードの兄さんにせかされたのでおとなしくドックへ向かう。

ドックで待ち受けていた方の兄さんはなかなかにフレンドリーで俺様がどっから来たのかなんて聞いてきた。 もちろん俺様は砂漠出身のKhajiitだ。
きれいだろう、この顔の模様。グレイのクラシックタビーっていうのさ。 他の部分はかなりブラウンだけどな。




なんて俺様の自慢話はあっさり無視されて、サクサクと管理事務所へ案内される。

薄暗い部屋には爺さんが一人待っていた。 話を聞くと、俺様を公式に釈放してくれるらしい。
俺様の生まれや何かを詳しく聞いて、釈放証明書を作ってくれた。
いよいよもってどういうことだかわからなくなってくるが、ともかく証明書を持ってCaptain Graviusに会いに行けと言われる。

おとなしく廊下に出た俺様は、すぐさま証明書を開いてみた。





皇帝Ulriel Septim VII世の御名の下に、Morrowind地方Vvardenfell島管轄にて以下の者の釈放を命じる。


なんだこりゃ。

これだけではさっぱりわからない。
はっきりしたのは一囚人の俺様に皇帝直々の釈放命令が出ているってこと。 
そしてここが、まぎれもなく辺境Morrowindのそのまた離島なVvardenfell島だってことだ。

大陸へは当分戻れそうにないことがハッキリしてちょっとガッカリだが、まぁしょうがないか。
捕まっちまったんだもんなぁ。




途中の中庭でちょっとした回復リングを手にした俺様は足取りも軽く、Captain Graviusのオフィスへ入る。

・・・・・・・・・・・誰もいないんですけど。

見れば机の上に、布カバーの本らしきものが置いてある。
これでも読んで待ってなさいってことなのか?



待っていても誰もこないようなので、とりあえずその「本」を手に取ってみる。
なんだ本じゃなくてハンカ・・・・・・・・



You've stolen for the last time!

ブッ殺すぞこの盗人野郎!


いやちょっと待ってくださいなにも盗もうってんじゃなくてっていうかそれは思いっきり誤解で
っていうかさっきからずっと部屋の隅っこにいたんですかCaptain Gravius?!

頼むから俺様の後ろに黙って立っていないてください。
心臓口からポッピングするじゃないですか(停止寸前)。




それはともかく、怒りのさめやらぬCaptain Graviusから正式に釈放である旨を知らされる。
やはり、釈放命令は皇帝直々に出ているという話だが、Captain Graviusも詳しいことは知らないらしい。

それと、Balmoraという街にいる帝国のエージェントCaius Cosadesに届け物をしろと言われる。
これもCaptainは詳細を知らないらしい。

激しくうさんくさい話ではあるが、ここでうんと言わないと釈放取り消しになるような気がして(何しろ窃盗現行犯が一個追加されたばっかりだ)おとなしく届け物である封印された文書を受け取った。

もう1つ、ご丁寧にCaius Cosadesへたどり着くまでの道順をメモにしたものもくれた。
え〜と、ナニナニ?



Lenne

You have been given these directions and a package of documents. Do not show them to anyone. Do not attempt to read the documents in the package. The package has been sealed, and your tampering will be discovered and punished.

この司令書と封印された文書を受け取ったことと思う。
どちらとも誰にも見せてはならない。 また、開けて読むことも禁ずる。
封印が破られた場合は必ず露見し罰せられることになるので心したまえ。

Proceed to the town of Balmora in Vvardenfell Distict. Report to a man named Caius Cosades. He will be your superiour and patron; you will follow his orders. His residence is not know, but ask at the cornerclub called "South Wall". People there will know where to find Caius Cosades. When you report to Caius Cosades, deliver the package of documents to him, and wait for futher orders.

Vvardenfell島のBalmoraという都市へ行き、Caius Cosadesを探しだしてこの文書を届けるべし。 Cosadesは貴殿の上官となり後援者ともなる存在である。
Cosadesの居場所は当局で正確に関知していない。 Balmoraのクラブ「South Wall」へ行けば所在がつかめるようになっているので、まずはそこを目指したまえ。無事文書を配達した後はCosadesの指示に従いさらなる指令のために待機すること。

Remember. You own your life and freedom to the Emperor. Serve him well, and you will be rewarded. Betray him, and you will suffer the face of all traitor.

貴殿の生命と自由は皇帝閣下より与えられたものであるということを片時も忘れぬよう任務に励むべし。 さすれば恩賞も与えられるであろう。 しかし万が一皇帝の命に背くようなことあれば、反逆者として裁かれるものと心せよ。


開けたらバレるし、罰するし、命令に背いてもエラい目に遭わせるし、とご大層な脅し文句がつらつらと並んでいる。
ケッ。頼まれたって読まね〜よ。 こんなつまんなそうなモンはさ。

すっかり気分を害した俺様は、こんなお使いなんか後回しにすることを決めて、手紙をポッケの奥に押し込んだ。
期限を言い渡されてないんだから、いつ届けたって命令違反にゃならねーよな。

あからさまに鼻にしわを寄せて文書をクシャクシャにしている俺様を、Captain Graviusが渋い顔で見守っている。

「大丈夫なんだろうな、コイツ」という視線をビシビシ感じながら、外に通じる扉を押し開ける。 世話になったなCaptain。

さぁ、Morrowindの風はどんなにおいがするのだろう。



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