24 Mid Year (Day 1618)






colony建設の第二段階が終了したようだ。 何か仕事がないか、行って聞いてみよう。




オッケーオッケー。 んじゃ行ってみようかい。


Urynの死でウヤムヤのまま終わってしまった鉱石泥棒の一件。 後味の悪いその事件は、しかし入植地建設の歩みを妨げることはなく、何事もなかったかのように平和な数日が過ぎた。 そして、再びジャーナルくんが俺様に声をかけてきたのだ。  もちろん俺様は機嫌良くBerry摘みの手を止め、Raven Rockへ向かうことにした。











着いてみてなるほど納得。 確かに「第2段階」とやらが終わった証拠に、いままで無かった大きさの建築物が完成しているのだ。 質素だけど頑丈な建物がいくつも建ち並び、本格的な街の誕生を告げている。 Falcoの努力と我慢が形となって現れたのだと思うと俺様も感慨ひとしおだ。


で、ジャーナルくんの意見によれば、この街のさらなる発展のために俺様の働きが必要になってるってことだよな。まーかせーなさい。 んで、Falcoはどこかな? 









そろそろ夜も更ける時間だったにもかかわらず、いつもの広場でFalcoを見つけることができた。 ちわーっす。 何かお困りのことでもありやせんか?



Yes, I have a matter that needs urgent attention. Something has gone horribly wrong with Seler Favelnim, and I need you to tend to him immediately.

おぉ。 そうなのだよ。 ちょうど困ったことになっていた所だ。 Seler Favelnimがどうかしてしまったらしい。 できるだけ早くなんとかしてやらねば。 すぐにでも彼の所に行って来てくれないか?

I don't know what's gotten into him. Word is that he's been trying to fight anyone who walks into the bar. This just isn't like him at all. Find out what's going on, and see if you can settle him down, all right Lenne? He's probably still in there.

いったいどうしたのだか、私にもわからない。 ただ、彼が酒場にやってくる誰も彼もにつっかかって喧嘩を売っていると報告があった。 いままでそのような面倒を引き起こしたことはないのだが・・・。 Selerがいったいどうしてしまったのか、つきとめてくれ。 そして、できるならなんとかしてやってくれ。 頼めるかなLenneくん。 Selerはまだ酒場にいるはずだ。




前回とはうってかわって民事風味な任務だが、せっかくできた街の酒場に暴れん坊将軍がいてはイカンだろう。 俺様はさっそくそのアホタレをとっちめるために酒場へ向かうことにした。









多少建物が増えたとはいえ狭いRaven Rockだ。 目指す酒場は、そのはずれに近い場所にみつかった。 その扉に歩み寄る俺様に、扉の側に立っていたDunmerの女性がいきなり声をかけてきた。 こんな夜中にどーしたん? といぶかしく思うほど「夜の酒場」には似つかわしくない、初老の、ちょっとくたびれた感じのおとなしげな女性だ。 てかマジにどーしたんすか、こんな場所で。





Are you going in there? You are, aren't you? What have they told you to do? Please don't hurt my husband!

そこの御方、中に入られるのですか? 酒場に入られるのでしょう? 偉い方がどのようにおっしゃってるかは知りませんが、どうか主人を傷つけないでくださいませんか?



主人my husband・・・・? ってーと、おばーちゃん、もしかしてそれってSeler Favelnimのこと?



I just don't know what's gotten into him! He's been sick lately, and I think he's tired. Tired of being old, tired of feeling useless... but I just don't know why he'd do this! Please make sure he's safe, Lenne. I don't know what I'd do without him. Don't hurt him, whatever you do. If he tries to fight you, just don't fight back. He can't keep it up for long...

いったいウチの人はどうしてしまったんだか・・・。 ええ、最近は体調を崩していたんですが、ただ疲れているんだとばっかり思っていました。 年をとって、若い頃のようには体も動かなくなって・・・それでふさぎ込んでいるものだとばかり。 何でこんなことになったのかさっぱりです。 お願いです、Lenne。 どうか主人に手をあげないで。 もし主人に何かあれば、私はいったいどうしたらよいのか・・・。 お願いですから、何があっても主人を傷つけないでください。 もし主人がかかってきても、やりかえさないでください。 どうせそんなに長い間動けるわけじゃないんです。



あらららら。 このおばーちゃんのご主人ってことは、酒場の暴れん坊将軍も大概なおじーちゃんってことかい。 何があってもやりかえさないでくれってのはちょっとアレだが、なるたけお手柔らかな方向で行ってみよう。


心配のあまりオロオロしまくりのおばーちゃんをその場に残し、俺様は酒場の扉をゴリリと押し開けた。









ブ厚い木で出来た扉をよっこらしょと締めるなり、至近距離から酒くっさい息が吹きかけられた。 ムハー、ムハー、と闘志満々なのは結構だが、そちらを見るとかなりヨボヨボのじーさんが足下も危うく立っていた。




I suppose they've sent you to deal with me, haven't they? Well, then - let's get this over with! You're not some kind of coward, are you? Come on and fight me! If I'm going to die, then I'm going out with a bang!

お、お前! お前も奴らに頼まれてきたんじゃろう? よかろう! 片づけてやるわ! お前も腰抜けでないなら受けて立つがいい! さぁ! かかってこい! ワシもな、ここで死ぬならいさぎよくさっさと死んでやるわい!



威勢良くそう言い終わると、そのじーちゃんは拳をグルグルと振り回して俺様に向かってきた。



えーーっとぉ・・・。 「かかってこい」はいいけどさ、それ以前にまっすぐ立ててないぜ、じーさん。 酒飲みすぎだし、なんかヨロヨロのヒョロヒョロだし。 これは外にいるばーちゃんの頼みがなくったって、手を出すわけにはいかんだろう。 どーぉ見ても俺様が悪者になっちゃうヨ。 パンチも空振りばっかりだしたまにあたってもビタイチ痛くないし、しばらく好きにさせるっきゃないかな。








Can't.... can't keep swinging... too tired. Just, just fight me, okay? Come on...
手が・・・手がもう動かん・・・力が・・・。 そっちからかかってこんか。 そら・・・。



イヤ、それがヤだから突っ立ってるんだってば、こっちもさ(苦笑)



じーさんは、なおもヨロヨロと拳を繰り出そうとしたが、そのまま前につんのめってしまった。 



I'm.... I'm too tired. Just can't fight anymore... Kill me, won't you? Just tell them you had no choice, that you had to defend yourself. I just don't want to live like this anymore.

もう・・・力が出んわい。 ケンカ1つまともに出来んのか・・・。 どうかこのワシを殺してくれんか? ワシから手を出したと言えば咎める者もいまいて。 ワシはこれ以上生きながらえたくはないのだよ。



Very well, I'll do as you ask.
まぁそこまで言うなら殺してあげるヨ。

Why would you want to die
なんで死にたいのさ。








何でまたそんなに思い詰めてんのさ?



Why? Look at me. I'm an old man. My health is failing, I'm of no use in the mines, and I'm a burden to my family. I don't want to waste away in bed; don't you see? That's no way for a man to die.

何でかだって? ワシを見るがいい。 ヨボヨボの年寄りだ。 体も病み、もはや鉱山でも働けん。 家族の重荷になるばかりだ。 このまま寝たきりになんぞなりたくない。 わからんか? 男として、そんな死に方をしたくなどないのだよ。



Very well, I'll do as you ask.
よくわかった。 そこまで望むなら・・・。

What about your wife
外で心配してる奥さんはどうするヨ。








家族の重荷って・・・、奥さんは外まで来ててメチャメチャ心配してるやん。 じーちゃんが無事に帰るだけで十分喜んでくれるんじゃねーの? それってありがたいコトだぞぉ?



My wife will be better off without me, whether she knows it or not. What, you think you know better?
アイツか? アイツならワシがいない方が良いだろうよ。 たとえ今はそう気づいていなくてもな。 ワシの妻のことはワシが一番よくわかっている。



Very well, I'll do as you ask.
うーん。 じゃぁしょうがないか。

This isn't your only option
だからって死ぬこたないだろ。








じーちゃんじーちゃん、そりゃ話が極端に走りすぎだヨ。 いきなり死を選んでどーするさ。



I suppose you're going to try and tell me that my family is more important, right? Look, I don't want things to end like this, but I don't want Dralora to have to see me wasting away in front of her. I don't want her to have to take care of me because I can't do it myself. Just kill me, won't you? Put an end to this!

お前さん、ワシに家族のありがたみでも説いて聞かせる気かね? いいかね。 ワシだってこんな人生の終わせ方なんて望んじゃいなかったんだよ。 だがな、Draloraの目の前で老いさらばえて耐えられないんじゃよ。 自分の身の回りのことも何一つ出来なくなって、何から何まで妻に世話をかけとおして生きていくなんてな。 それくらいなら今ここでお前さんに殺された方がマシなんじゃよ。 どうかね、殺してくれはせんかね?



Fine. I'll do it.
そんじゃ遠慮なく。

No, I won't.
イヤだってばさ。








だからさ、奥さんの方はスゲー心配してるんだってば。 悲しむ人がいるうちは、とりあえず死ぬなんて考えるなヨ・・・。




You're right, you're right.... I know you're right. I'm sorry. I'll stop, and I'll try to look on the bright side from now on.

そうじゃな・・・その通りじゃよ。 ワシも頭ではわかっておったんじゃよ。 もう繰り言は止めにしよう。 希望を持って残りの人生を生きていくことにするよ。



やれやれ・・・。 まったく年寄りの愚痴は長いったらありゃしねー。


じーちゃんの繰り言があまりにも長いので、実はもう一問答あったらヤバかったかも、ってくらい俺様はイラついていたのだが、まぁ結果オーライだ。 話している間に酔いも冷めたらしいじーさんは、フラフラと酒場の方へ戻るとおとなしく座り込んでしまった。

あの様子じゃ飲み直してまた暴れる元気もなさそーだし、これで解決ってことでいいかな?









外で待っていたばーちゃんは、とりあえずじーちゃんが無事だと聞いて、感謝に堪えない様子で礼を述べてきた。 ばーちゃんが止めてくれなければ、酒場に入って殴りかかられたとたんに、ヨボヨボの老人を殺していた可能性もあるのだから俺様からも感謝しなくてはならないよな、うん。



テキトーにばーちゃんの相手をした後、広場に戻ってFalcoに、じーちゃん(Seler Favelnim)の件が無事片づいたと報告する。



Thank you, Lenne. It would've been easy to kill him, and it would have been in your right to do so. You've shown great compassion, and I wish to reward that.

よくやってくれた、Lenneくん。 Selerを殺してしまった方が、君にとっては簡単だったろうにな。 十分な理由もあっただろうに。 君がとても思いやりのある人物だということがわかった。 その気持ちに対して、私も報いたいと思うよ。



・・・・・・・ナンダヨ、一部始終承知の上じゃねーかコノヤロウ。 とは思ったが、報酬の入ったずっしり重い革袋はおとなしく受け取ることにした。 事情を全部承知の上で俺様を送ったってことは、Selerがどうこうよりも、俺様を評価するつもりで依頼しやがったのか。 んでも、俺様が、あのじーちゃんを望みのままに「サックリ」いってしまわなかったのは、最近Falcoの元で、そのやり方から何か学んだからかもしれない。 以前の短気なコソ泥の俺様だったらどうしただろうか・・・。

しかし、老いて体がきかなくなり、今まで出来た事ができなくなり、誰かの手を借りなければ、何もできなくなる・・・。 そんな日はいずれ俺様にもやってくるのである。 そんな時俺様は何を思うのか。 いや、その時まで無事に生きながらえることができるのか。 そんな長生きができたとして、それは本当に俺様にとって良いことなのかどうか・・・。 今まであまり考えたこともなかったような事を考えさせられる一件だった。

でもでも、もしも、デコの毛が白くなり、肉球がシワシワにしなびるまで長らえることができるとしたら、できればその時間は、願わくば、誰かと共に歩みたいなと乙女チックに思ってみたりもする俺様なのであった。 (誰かって? デヘヘへへ・・・。)




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